2003/05/10

潔 癖

#きんつば(これは今食べたいもので、以下とは無関係です)

 かまびすしいですな。

 白装束だか渦巻きグルグルな人たち情報。あんな感じのヒトならいっぱいいるんですけどね。

 健康食品売場を化粧気のない姿で、無農薬食物なんか求めてウロウロしてるヒト。変わらないよなあ。つまり、潔癖なんですな。

 もう、なんだかわからないようなものとかは、一切身体に入れたくないってヒトですね。アルカロイド系の毒物を含めて人間はずっと、わけわからないもの摂取してるわけですから、それはもう閾値(イキチ)の問題。そして、傾向としてまわりを見渡せば、その手のものに潔癖になってるヒトって、どうも実際に不健康。たぶん、平均寿命も短いね。弱々しい身体が、そういう傾向になってしまうのか、そういう傾向が弱々しい身体を作ってしまうのかってのは、よくわからないけど、よくわからい場合はおそらく両方というやつ。

 まちがいないと思うのは、そういうものに潔癖になっていると、ストレスは溜まるよな。ストレス溜めると死ぬの早いよ。そんなことは自由だからいいけどね。

 しかし、可愛そうだなって思うのは、マスコミとか一般人が騒いでる要因になってるのは、電磁波がどうのこうのってやつ。非科学的でバカじゃねぇか。非科学的なこと堂々と言うやつは怖いだろ! って雰囲気。

 こりゃ、ちょっと変でね。ご本人たちは宗教じゃねぇよみたいなこと言ってるみたいだけど、まあちょっとした宗教だよね。そいでもって、宗教のなかで非科学的でないものなんかあるのかねってこと。非科学的でなければ、それは宗教じゃなくて科学でしょ。科学であるってことでも、あんまり強く主張しちゃうと宗教っぽくなるってもんだから、そりゃ変だよなあってこと。

「古い言い分」と「新しい言い分」とをくらべれば、確かに新しいほうが新鮮な分、ちょっと怖いってのも分からないでもないけどね。慣れの問題だろうから。

 でも、死んで生まれ変わったのを信じるとか、奇跡を信じるとかさ。古さの分だけ相対化できてるってこともあるだろうけど。世の中には非科学的なことをまるっきり信じる「原理主義」なんてのも残ってるわけだからさ。

 非科学的だってことで責めるのは可愛そうよ。そんなこと言ったら、初詣で柏手打つのも、占いに耽溺してる女も気色悪いってことでしょ。批判するなら、もう少し緻密にあるかどうかわからない批判点をみつけないとね。

 もっと言えば、なんであんな屁でもない状態な変人見て怖がるのかって根っこの方、自分の内面を探求した方が、いろんなこと分かると思うけどなあ。

「健康増進法」なんてしょーもない法律が通っちゃうご時世だから、国民全体別の病に突入してるよね。あんな人たち、これからもどんどん出てくるよ。

2003/05/11

筋肉ムズムズ

#かっぱえびせん(これは今食べたいもので、以下とは無関係です)

 この季節、神田川沿いを散歩してると、木々が繁りまくって、気分がいい。

 恒例、春の倦怠感からも解放されて、筋肉ムズムズのナチュラルハイ。この気分がもっと進むと、どこにでも行ってやろうじゃねぇか。なんにでもなってやろうじゃねぇかの根拠のない自信がバカ騒ぎ誘発。危険です。自重、自重。

 今年も5月になってやっと身体が新年迎えたって感じ。遅いよ。

2003/05/12

平野男

#蕗のおひたし(これは今食べたいもので、以下とは無関係です)

 昨日のことだけど、地震がありましたな。結構揺れた。

 住んでるところが、住んでるところだから、震度3くらいの揺れがくると、その都度「とうとう来たか!」って気持ちになります。急上昇アドレナリンに対して「来るもんか、大丈夫、大丈夫」って心にインシュリン的カウンターアタック。そして、やがて揺れがおさまるね。おさまったらおさまったで「なんだか肩すかしだなあ」と不謹慎な気分。

 すっかりアトラクション化しちゃってます。

 しかし、昨日のアトラクションは少し面白かった。電気ポットからお湯を注いでいる最中だったから、落下位置が微妙に狂って、手にかからないように集中して位置補正。

「アリャ? アラアララララ」

って呟きながら、ヒザのサスペンションまで導入して最後までやりきりましたよ。

 しかし、なんで大きく揺れてるのに、途中で止めないのかね? どうも、やり始めたことは最後までやらないと気分がよろしくない性格なんだなあと自己分析。引き返せない性格。それって、能率いいようで、実際は悪いんだろうな。

 山男だったら、死んでるな。よかった、平野男(へいやおとこ)で。平野男? なんだ、平野男って。

2003/05/13

連休ボケ

#昆布のおにぎり(これは今食べたいもので、以下とは無関係です)

 蔦を引っこ抜いたら、ヤモリが出てきたので、明日の仕事はお休みします。

 カラスにメンチきられたので、明日の仕事はお休みします。

 神保町の「いもや」の客席の下でハトがテンカスを食ってたので、明日の仕事はお休みします。

 近所のSさんのダンナが黒服とボルサリーノで出かけたので、明日の仕事はお休みします。

 下高井戸の本屋がリニューアルオープンなので、明日の仕事はお休みします。

 奄美大島が梅雨に入ったので、明日の仕事はお休みします。

 阪神がボロ勝ちして、広島がボロ負けしたので、明日の仕事はお休みします。

 無理!

2003/05/14

釣銭

#でこぽん(これは今食べたいもので、以下とは無関係です)

 千円札1枚をタバコの自販機に投入。250円のタバコのボタンを2回押す「どどん、どどん」。釣銭レバーを動かす「カチャ」。ふむ。

 ヒザを曲げて、タバコを2個とりだしてポケットへ。釣銭落下防止の窓を開けて「カパッ」。そして、5百円玉を1枚。

 えっと、1,000−250×2は、いくつですか先生。ふむ、ふむ。

 5百円玉が2枚あるね。どう見てもある。

 なんだか納得いかんが、神様ありがとう「チャリン、チャリン」。

2003/05/15

子供の記憶

#太刀魚のてんぷら(これは今食べたいもので、以下とは無関係です)

 演劇鑑賞。

『アゲイン』−怪人二十面相の優しい夜− 劇団扉座第29回公演。

 作・演出:横内謙介。キャスト:近藤正臣、六角精児、茅野イサム、有馬自由、佐藤累央、高橋麻理、鈴木利典、仲尾あづさ、杉浦大介、杉山良一、石坂史朗、中原三千代、犬塚淳治、田島幸、中沢純子、小牧祥子、鈴木里沙、岩本達郎、村内貞介、三村晃弘、上原健太、高木智之、椎谷陽一、森下由紀、山口景子、奥慶太郎、栗崎諒、瀧田和彦、中村貴彦、根本央、加藤妙子、川西佑佳、鈴木恵、根岸彩、山下幸乃、岡野憲史、小黒由陽、木村奈緒子。

 1999年初演。今回が3回目の上演。

 

 時は現代。明智小五郎(佐藤累央)との戦いに明け暮れていたときから、30年が経っていた。

 年老いて、往年の面影をすっかりなくしてしまった「怪人二十面相」(近藤正臣)。すでに、足腰も弱り果て、怪人としての活動を一切辞し、生きる気力すら失っていた。そして、復活をあきらめきれない手下とともに、迷路屋敷でその余生を送っている。

 ある日【もう一度、少年探偵団と戦いたい】と記されてある二十面相の日記を「小間使いのリー」(田島幸)が盗み見る。それを知った「ねこ夫人」(仲尾あづさ)は、人さらいを得意とする手下、チンドン屋の「ニコラ」(石坂史朗)「紅子」(中原三千代)夫婦を呼び寄せる。

 怪人二十面相を復活させるには「少年探偵団」と対決させるしかない! ねこ夫人は、過去のデータをもとに選りすぐった少年探偵団3人を屋敷に誘拐してくるようニコラ、紅子に命じる。

 やがて、その3人「篠崎始」(六角精児)、「野呂一平」(茅野イサム)、「木下昌一」(有馬自由)が、難なく拉致連行される。

 しかし、3人の姿にも30年の時は、差別なく刻まれていたのだった。篠崎は、食品会社のサラリーマン。妻と小学校6年生の息子がいて、糖尿病で食事制限中。野呂は、小さな商社の課長補佐。離婚して現在は一人暮らし。離婚した妻が小学校4年の娘と小学校1年の息子と暮らしてる。木下は、都の水道局員。妻と男女あわせて4人の子供がいる。小遣いが月に1万5千円、サラ金に30万円の借金を持つ。

 その様子に落胆した手下たち。それでもめげず3人に小学生の服を着せ、すね毛を剃って二十面相復活作戦に挑む。

 しかし、その危なげな作戦にもかかわらず怪人二十面相は、まんまと往年の姿をとりもどす。同時に二十面相の復活を知った、明智小五郎、女探偵「花崎まゆみ」(高橋麻理)、「小林少年」(鈴木利典)までもが復活して屋敷に乗り込んで来てしまう。

 そこで戦いは、がぜんヒートアップしていくのだが、少年探偵団3人の心はオヤジのまま。現実味のない戦いにシラケきっている。シラケきっているばかりか、自分たちがかつて、少年探偵団であったことすら記憶してない様子。いや、事実は少年探偵団であったことはなく、書籍の中の妄想の産物か?

 事実は知らされぬまま、爆笑の中で物語は進行して行く・・・・・・。

 

 かつて、少年時代に構成された記憶は、妄想と現実の区別のつかないまま、丸飲みされるようなカタチになっているのか? やがて大人というリアリズムから逆放射された視線が、過去の記憶のなかの妄想や矛盾部分を削除し整理してしまうものだろうか?

 そういえば、40歳過ぎても子供の頃「河童を絶対に見た」と言い張る人間が近親にいるのだけれど、そのヒトは、記憶の削除機能が未発達のヒトなのかなあ? なんてことを考えて、物語の不可解さを納得させながら鑑賞する。

 悪を悪と納得してモデル化する。正義を正義として単純化する。それを実際の行為として提示することが後継していくということ。どんなにバカに見えようが稚拙に思われようが、現世という舞台での役割を演じきること。寛容で包み込んでしまえば、バカげて見える悪も正義も、世をわたるための立派な道具の一部になるじゃないか。

 世の中のニヒリズムや相対主義に対する怨嗟が、作家の執拗に隠したがってる主題になっている。

 なぜ隠したがってると感じるかは、表に出しすぎれば演劇にならないからでしょう。いや実際、世の小演劇と呼ばれるものは底の浅いテーマ主義の自己満足で演劇の体を成していないものがまだまだ、たくさん残ってますもんね。平たく言えば、面白くない。つまんない。そんなこと言うヒマがあったら笑わせろ! 小学校の教師が言いそうなことを先鋭化させるだけで悦にいって、頭わりーんじゃねえの。な作家人に溢れているのですね。

 しかし、この作家は、作家性といって威張りたがりそうな部分を、楽せず巧みに殺して、お客さんがお金払っても後悔しないように仕上げてます。良いです。上手です。

 ただ、なんにもなくしちゃうとダメなんじゃないか? スカになっちゃうんじゃないか? バカだと思われるかも? 新聞に劇評を載せてもらいやすくするために、なんか仕込んでおかなきゃかなあ。古いヒトたちとも、もっとつき合いたいしなあ。みたいな頭の良さ、知性がこの作家には、まだ残ってる感じはあります。今は、ただ才能でバランスとって上手にわたっていけてるという感じ。

 今後、偉そうなこと言ってみたくなってダメになっていくのか、お客様は神様ですのスタンスを守りきれるかが、私的注目点。

 想像や勘ぐりかもしれないことを色々考えてしまうってのは、裏を返せば、素直に面白かったってことです。

 

 東京、新宿紀伊國屋サザンシアター2003年5月11日〜15日。東北ツアー2003年5月22日〜6月14日。

2003/05/26

そうだったのか

#しょうゆうどん(これは今食べたいもので、以下とは無関係です)

 演芸鑑賞。

「志の輔らくご in 下北沢 vol.10」

 立川志の輔 独演会。「漫談」「独り芝居」「落語(『佃祭り』)」

 日本一独演会の多い落語家「立川志の輔 」の下北沢講演。絶対ハズレない安全パイ演者。いつもギャンブルばかりしてると疲れるので、こういった安心できるものも、たまには観ないとな。

 本日のテーマは、本人によると「あーそうだったのか」です。

「漫談」

 直前に東北に大地震があったので、その報告。震度6という数字に会場どよめく。東京も揺れたらしいが、下北沢は地盤がいいのか全く気づかず。あったばかりの地震をネタに因果の話。理由がわからないことが起きると不安だけど、理由がはっきるすると安心するもんだ。今の揺れの原因は地震のせいだって聞いただけで安心できるところがあるもんだなあってこと。地震の原因がなんだかってところまでわからなくても、ある程度因果関係が提示されると人間安心するもんだ。

 弥生・縄文時代の年代修正が大きくとりあげられたりするけど、自分に感心がないのは、歴史教育の順番が古い年代から現代という順番になってるからじゃないか。現代から過去に遡る順番であれば因果を遡って、結果の原因を探求する好奇心を得られるのじゃないのか。微分・積分も感覚的に瞬間スピードを判断して車を避けたりする行為から、つまり人間が自然に処理している感覚を投影してるに違いないので、そういうところから教えることをすれば理解できるんじゃないか。

 などなど、盛りだくさん。

 つまり、そういう考え方をするのですね。落語のそもそもの起源が坊主の法話あたりだと仮定する話を聞いたことがある。難解な仏法を笑いを織り交ぜて、分かりやすく庶民に伝えていたという坊主の話。つまり法話。その法話が長い時間をかけて分離独立したという説。「親の因果が子に移り」「情けは人のためならず」「善行をすればいいことがある」落語の中に「因果」というテーマが多く現れるのは、そういうことなのだろうなあ。

 と「あーそうだったのか」のお返し。「あーそうなのかも」か。

 

「独り芝居」

 六本木のレストラン。婚約者と食事中。女に「結婚詐欺」と罵られる自分。結婚前に聞いた男の職業は「電通マン」であるということ。しかし、職場に何度電話しても、本人にとりついでもらえない。男の職場は電通ではないんじゃないかというのが女の言い分。しかし、男は電通で特命部署に配属されており、社内でも秘匿される部署。

 日本で起こってる不思議な現象を影で操ってるので、女にもその内容を今まで内訳られないでいた。男は結婚詐欺の汚名を着せられて破談になるよりはと、仕事の内容を話しはじめる。しかし、女は内容が突飛すぎて、にわかに信じられない。しまいには男の話を虚偽と決めつけて席を立ってしまう。

 直後、レストランにひとり残された男の携帯電話が鳴る。今まで押し進めてきたプロジェクトの内容が「週刊文春」に露呈してしまったという連絡。はたしてなぜ?

 

「落語(古典『佃祭り』)」

 佃島住吉神社の大祭見物にでかけた「次郎兵衛」。帰りの渡しに乗ろうとするところを女に裾を引っぱられて、最終便(しまい舟)に乗り遅れてしまう。

 次郎兵衛の妻は苛烈なやきもちやき。今夜中に帰らないとなにをされるかわかったもんじゃない。途方に暮れる次郎兵衛。裾を引っぱり引き留めた女、次郎兵衛に問う。3年前に橋の上から身投げしようとした女を助けて、3両の金を恵んで勇気づけた覚えはないか。

 次郎兵衛に思い当たることがあり「あの時の」という目出度い再会。しかし、次郎兵衛は今夜中に帰宅しないとという気持ちで、嬉しさも半分。ところが女は今、佃島に嫁いでおり、夫は船頭をしているということ。今夜中には、向こう岸に送り届けることが可能であるので、ぜひ自宅に寄って欲しいとのこと。

 今夜中に帰れると安心した次郎兵衛は、その申し出を快諾して、女の家に寄ることにする。

 ところが、2人の昔話の最中に近所のタケさんからもたらされたのは、しまい舟の転覆、乗客全員溺死の報せ。次郎兵衛は女に引き留められたことを感謝する。

 一方、次郎兵衛の家にもそのニュースが到来していた。そのニュースは当然のように次郎兵衛死すのニュースになり、通夜の支度で大騒ぎ。

 その大騒ぎの最中、次郎兵衛は帰宅するのだが・・・。

 

 どの演目も終始大爆笑。テレビでしか立川志の輔を知らないヒトは、この話術を堪能して欲しいよなあ。

 

東京/下北沢本多劇場2003年5月26・27日。

2003/05/30

あらゆることに個人を優先すれば成るか?

#いわしの塩焼き(これは今食べたいもので、以下とは無関係です)

 演劇鑑賞。

『孤独なパイロット』カムカムミニキーナ2003年本公演。

 作・演出:松村武。キャスト:八嶋智人、山崎樹範、藤田記子、松村武、林和義、山中たかシ、松田かほり、山崎みちる、今村佳岳、田端玲実、市子嶋しのぶ、岩森康子、中島栄治郎、今井克己、小島啓寿、米田弥央、松尾ユウコ、木戸大輔、佐藤恭子。

 応接室にライト兄弟の兄(松村武)、同じく弟(八嶋智人)、トーイ・ザ・アンビリーバブル(記者、山崎樹範)、カメラマン(松尾ユウコ)の四人。熱血記者アンビリーバブルが、なぜか関西(奈良?)弁のライト兄弟を取材。世紀の大発明である飛行機発明の契機(きっかけ)を聞きだそうとしている。しかし、いいようにはぐらかされて、シュールな世界にひきずられていく。そこへ、ある怪事件の調査のためにシャーロック・ホームズ(山中たかシ)とワタスン(ママ、市子嶋しのぶ)が現れる。ここまでが、意図して創られた、ツカミのための爆笑寸劇。アヴァンタイトルっぽい構成。

 カットバック。数週間前、ロンドンにある豪奢な屋敷で女のミイラ死体が見つかる。その屋敷の持ち主は世界初の飛行機パイロットアームストロング(松村武)。早速捜査に乗り出したシャーロック・ホームズ。死体は、アームストロングの妻であり、大ヒット小説『大空帝国の手紙』を執筆した作家、ケレル・アームストロング(松田かほり)ではないかと疑われる。しかし、調査なかばでシャーロックの兄、海軍情報局大佐マイクロフト・ホームズ(林和義)が現れ、事件調査を海軍情報局管轄で行うと宣言。しかも、その調査後の記者発表で、死体は男であり屋敷の持ち主アームストロングであると断定してしまう。

 女のミイラ死体がアームストロングの死体と断定され、事件の影に国家的意志が介入していることを悟ったシャーロック・ホームズ。意識的に死者にされたアームストロングは、どこかに生きていて、国家的任務に従事していると判断。単身、調査を開始するのだが・・・。

 中盤以降、浮遊したようなとっちらかった「言いたいことは分かったから、そういうのやめてくんないかなあ」と面白寸劇が混ざり合って、少し困る。野田秀樹好きが創った、野田劇もどきのような、村上春樹好きが書いた、村上春樹っぽい小説のような、アニメ好きが創ったアニメみたいな、底の浅い手法で青臭いテーゼが踊る。って書くと怒られるかなあ。徹底してたら文句言えることもあるけど、どうもそれを脚本家が持ってる手法(パターン)ではぐらかされてる感じ。

 玄人筋にもほめてほしい的バランス感覚が、全体不徹底に乗り上げて「どっちかに決めちゃえばいいのになあ」と思わせる。演劇の玄人にほめられるようなものにロクなもんなんかないのに、とたまには強いこと言ってみようか。

 しかし、この爆笑創造力は天才的(もしかしたら土着的)なのに、もったいない。観劇者の帰路噂話に同一意見チラホラ。

 まあ、笑えるところが、いっぱいあったからいいか。

 

奈良/やまと郡山城ホール・大ホール5月21日。大阪/近鉄小劇場5月24・25日。東京/シアターアプル5月28〜6月1日。広島/アステールプラザ中ホール6月5日。