2003/11/02

無常は時間の無情

#タン塩(これは今食べたいもので、以下とは無関係です)

 ちょっと早すぎた紅葉狩りで「御岳山」。来週あたり見ごろなのか。

 しかし、三連休のど真ん中で人混みは、半端じゃない。こんなに混んでる御岳は初めて。人混みは疲れるので、ケーブルカーとリフト両刀往復使いで、省エネコース。軟弱ですな。しかし、健脚自慢の壮年が多い、多い。あれくらいの年で、あれくらい元気に歩ければいいなあ。壮年よ長寿を抱け!

 そういえば、一昨日長寿世界一の「本郷かまと」おばあちゃんが116歳でお亡くなりましたね。ご冥福をお祈りします。やっぱり長寿は南方なのかねえ。かまとおばあちゃんは明治20年生まれ。ボクらの年齢からすると、明治20年生まれってのは、そんなに大した感じがしない。でも、今のヒトは「明治時代かよ! すげーっ」って感覚なんでしょうな。

 ボクが小学校低学年の時、100歳越えてるヒトってのが表彰されたりするニュースを聞くと「慶応元年生まれ」とかいましたからね(120歳まで生きた泉重千代さんも慶応元年生まれ)。それは、それは「江戸時代かよっ! 武士かよ!」ってな驚きでした、はい。

 だって、その頃、通ってた小学校が創立80周年で「伝統ある小学校です」とか言っていばってましたからね。そら80年はすごいけど「慶応元年生まれ」には全くかなわないわけですよ。でっかい建物が、たったヒトリの年寄りにかなわない。「すごいなあ」って思いました。日本初の小学校設立は、明治2年なわけですから「慶応元年生まれ」は、全部の小学校に勝っちゃったりしてる。すごい、すごい。

 今は、もう全世界、約65億人たばになっても、明治20年生まれのヒトですらいなくなっちゃったんですねえ。はかないなあ。

 さらに、あと120年くらい経ってしまえば、今生きてるヒトで生き残ってるヒトは、まあうまくいって1人か2人くらいいるんでしょうか? 150年経ってしまえば、絶対とは言い切れないけど、まあ、みんな死んじゃってるでしょ。総替えの風景ですな。

 やれやれ無常、無常。

2003/11/12

誠意の伝え方

#カレーうどん(これは今食べたいもので、以下とは無関係です)

「真心で配れば、誠意が伝わる気がします」

 可愛そうだけど、それは勘違いだろうなあ。

「ワタシ、踊る!」

「ワタシ、配る!」

 踊るな! 配るな! オレ、寝るんだから。

2003/11/13

決意表明の伝え方

#豚肉のしょうが炒め(これは今食べたいもので、以下とは無関係です)

 13日の木曜日。ギリギリセーフ! なにが、ギリギリだよ。

 寒いし、午後5時半には真っ暗だし、投票率あがんねーし、出口調査ボロボロだし(特に日テレ)、TBSは真反対報道やらかすし、W杯バレー勝ったり負けたりだし、株価下がったり上がったりだし。

 なんだよ?

 先週書かなかった日記を無理矢理2行にまとめてみました。無駄な努力ですな。

 来週はインフルエンザの予防接種に行くぞ! とりあえず決意表明。

2003/11/18

演劇的境界切断法

#鶏の唐揚げ甘酢かけ(これは今食べたいもので、以下とは無関係です)

 演劇鑑賞。

『ハルディン・ホテル』−「NYLON100℃」10周年記念公演−

 作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ。キャスト:犬山イヌコ、みのすけ、三宅弘城、大倉孝二、松永玲子、長田奈麻、新谷真弓、廣川三憲、村岡希美、藤田秀世、大山鎬則、喜安浩平、吉増裕士、杉山薫、植木夏十、眼鏡太郎、佐藤竜之慎、皆戸麻衣、廻飛雄、柚木幹斗、小林高鹿。

 2003年12月18日夕方「ハルディン・ホテル」ロビー。外は大雪。

 本日は、ホテル開業10周年の記念日(「NYLON100℃」10周年記念から引っぱり出した設定)。開業当時は、町の開発計画やマスコミの扇動に乗って、それなりに注目を浴びていた「ハルディン・ホテル」。

 ホテルマンチーフのアヅマ(みのすけ)が、新人ホテルマンのボウゾノ(喜安浩平)に当時の様子を自慢げに語る。10年前のホテルがいかに栄えていたか、有名人の宿泊がいかに多かったか。

 だが今は、往時の面影薄く、客足もまばら。

 10年前の開業日。「開業日に宿泊したお客様には、10年後の記念日に限り宿泊費を無料にします」というサービスがもうけられていた。しかし、そのサービスの利用者は少ない。これは、落ち目になったホテルの問題ではなく、天候不順(大雪)のせいであると、アヅマはなかば納得している。

ボウゾノ「結構いろんなヒト泊まっていたんですね、このホテル」

アズマ 「過去形にするか? キミは」

ボウゾノ「いいえ、別にそんなオレは!」

アズマ 「いいさ、所詮想い出だったとしても、ないよりは、あった方がいい」

−アズマ回想、長台詞。10年前の開業日にカットバック−

 開業日に訪れる、10人程度のにぎやかなツアー客。ロービーで、ツアーコンダクター(犬山イヌコ)を含む、アカの他人ばかりのツアー客同士が不思議と仲良く談笑。談笑というか、下らない冗談に異常な盛り上がり。非のうちどころのない、幸福そうな風景。

 開業10周年記念のサービスを利用した客は、このツアー関連の客、テレビ脚本家タカノ(藤田秀世)、有名な卓球選手からタレントに転じた円城寺アイ(新谷真弓)など少数。当時の様子と10年後の今日を行ったり来たりしながら、ホテル従業員を含んだ彼らの変化を、笑いをたくみにずらしながら、哀感へと導いていく。

 

 

 知り合いが、もし「芝居を見たいんですけど、初めてなんです。なにか紹介してくれませんか?」と言ったら、ボクはDVDでもなんでもいいから、とりあえず『ハルディン・ホテル』を観なさいと推薦したいキモチ。この作品は、偏見のない無垢なヒトが観るべき、すぐれた作品のひとつってことになるんじゃないかって気がします。もちろん、私的な意見ですけど。ボクは誰がなんと言おうと傑作だよって思いますね。それくらいヨカッタ。

 設定が? テーマが? って言い方するヒトは、いまだにいると思いますけど、この作品には、本来どうでもいい、そういったものがないです。あっても微小で、無視してもいいもの。作家の中にあるすぐれた感性がそのままコトバになって、演劇という方法で忠実に再現される。そのコトバが演劇化される過程がとても、すぐれていると思います。詩的にすぐれているとも言えるし、コピーライター的にすぐれているとも言えます。青臭い、ノータリン演劇青年が「なんだよ。なんもねーじゃねえか!」って言いそうなこの作品。ボクには、最高級の作品で「守備範囲が広く、射程の長い、立派な芸術作品」になるのは疑いようがないよって思えます。良質な翻訳で海外公演でもするようなことがあれば、その辺がはっきりするんじゃないかなあって思います。

 なんだ、作品の優劣って結局のところ、すぐれた表現文体かどうかってことじゃねえか。やっとわかったぜってな感じです。今まで、イロイロごちゃごちゃ考えて、納得したような、してないようなことになってのが、もったいないなあな気分。なにが、そんなに優れているっていうのかってのを、うまく言いたいんですが、相手が格段にすぐれていると、なかなかそこに手が届かない。小さいミスをみつけて、けなすのは簡単なんですけど。そういうのは悲しい妬みというもの。

 たとえば、二つの対立する意味のコトバが実は、感情の想起される場所で近接している姿ってのを、大変巧みに表現してます。対立するコトバは「喜びvs哀しみ」でも、「幸福vs不幸」でも、「正常vs狂気」でも、なんでもいいです。平面で例えると実は、それらが同じパイの中に収まっていて、定義以前の感情の中ではどっちともつかない、ボンヤリとしたカタチで納まっているというイメージ。これらはボクらがコトバにしてしまえば「嬉しいよ」は「嬉しいよ」になるわけだし、その「嬉しいよ」の中に含まれているかもしれない「悲しいよ」は、ちゃんと時系列で順番に説明しなければ、一般の表現としては普通成り立たちにくいです。

 しかし、この作家の技巧は、感情の場所で近接している「嬉しいよ」と「悲しいよ」の境界線にハサミを入れて、スッパリではなく、やや手を小刻みに振るわせながら切っていく。その微妙にゆがんだ切り口を開いてみせることによって、複雑な感情を多面的にリアルに表現してみせる。そして、それらのコトバは、ボクらのもっている本来の感情のあり方と親和性が高いので(実態に近いから)、引っかからずにドンドン中に入ってきます。だから、逆に簡単じゃん、誰にもできるじゃんという錯覚すら感じてしまいます。しかし、こういう出力の仕方(創作)は、実は大変難しいに決まってます。誰にでもできるってもんじゃなく、それこそ、天才にしかできないんじゃないか? ってシロモノ。

 この作家(演出家)の手にかかれば、全くの時系列であるはずの線(コトバ)が、面に見えたり、立体に見えたり。その流れをまとめて観ようとすると、ほのかに時空を見せてくれる世界。そして、この作家は「だって、そういうことできるのは演劇だけじゃない。当たり前でしょ」って思ってるような気がしてしようがないです。もし、そうなら素直に同意したいキモチ。そういうことができてないものが溢れてる現実は、とりあえず無視して。

 

東京:下北沢本多劇場11月7日〜30日。大阪:上本町近鉄小劇場12月5日〜7日。福岡:北九州芸術劇場〈中劇場〉:12月13日〜14日。滋賀:栗東芸術文化会館さきら〈中ホール〉:12月17日。

2003/11/29

スルーレシーブ

#鯖の塩焼き(これは今食べたいもので、以下とは無関係です)

「犬山犬子、犬子(イヌコ)カタカナに改めみたいや」−テレビドラマ『トリック3』より−

 狭っ!

 とこれは、一昨日の話。今日ビデオで観たので私的に今日の話。

 今日といえば、種子島がまたバカ高い花火を上げましたな。どんどん上げてね「失敗は成功のもと」。もったいない、バカたれ! って言うやつには、うるせーボケッって言い返せばいいです。

 日本がある分野では、世界最高の技術を持ってないってことも分かるし、ひいては日本人は器用だっていうヨタ話が通用しなくなって、大変いいこと。

 ウソっぱちで鼓舞されて、いいことなんかひとつもない。